目覚めるとそこはもうシチリアだったいつの間に海を渡ったんだろう??
じりじりと焼き付ける太陽
青い青い、海の色
ここはもう、別の世界
車窓から見るシチリアの景色
第一印象は
”気配のない土地”
茶色く、枯れた大地
そびえる山々にもほとんど緑は見えない
見える緑はサボテンの黄緑と
オリーブの濃緑だけ
やたらと目につく廃屋
鉄道駅にもほとんど人の気配はない
想像とは違う目の前の景色に戸惑いながらもパレルモに到着
パレルモはシチリア州の州都
シチリア第一の都市だ
朝8時、駅に降り立つ
頬をなでる風が、熱い
駅を出て、街を歩く
大通りには多くの屋台
褐色の肌をした人々が衣料品やアクセサリーを売っている
小さな通りに入ると、たくさんの洗濯物がひしめき、はためく
足下には生ゴミがちらばり、ネコや犬がそれを喰らう
ここは、本当にヨーロッパの一部なの?
なんだか懐かしい香りがする
混沌とした、アジアの香り・・・

セジェスタ
紀元前430年頃
古代山岳民族エリミ人によって
エリーチェ、エンテッラと共に
Monte barbaroの斜面に築かれた街
その後、ギリシャ人に占領され
南のセリヌンテと対立
カルタゴ、アテネ、シラクサ、ローマと
同盟を結びセリヌンテを滅した
セジェスタの神殿は
海を見渡すシチリアの丘の上に
今もなお悠々とそびえたっている
ドーリア式の神殿ではあるが
溝がないことが特徴的
また、神殿内部が全く残っておらず
謎のままとなっている
神殿隣の丘にそびえるコロッセウム
舞台の向こうには地中海が広がり
沈み行く夕日を臨む
あたしはこの神殿が見たくて
シチリアにやって来たのだ
ただ、それだけ
この神殿を見下ろす丘の上
そこで私はシチリア生活を送ることになった

ひとりぼっちになったとき
あたしは迷わずこの部屋を選んだ
ここなら寂しくなんかないって
そう思ったから
誰かの香りを感じながら
眠れるって思ったから
窓は少しきしんでいて
風はもちろんのこと
雨すら吹き込む時だってあった
でも、この窓が好きだった
木の取手をまわして、窓を開ける
そこには一面の風
風の底には、緑
その向こうには、あの神殿
あの神殿を目指して登った
でも辿り着けなかったあたしたち
道ばたの草や、雷でできた大きな洞穴
ぶどう畑やのどの痛みに効くはっぱ
そんなものに夢中になってしまったから
おひさまは、待ってくれなかった
いつかまた、めざそう
誰かの香りが残ってた、この部屋
たんすの奥や、ベッドの裏
そこには誰かの足跡があった
今、この部屋には誰が眠ってる?
あたしの足跡、見つけてくれた?

一人暮らしのあたしの家から
最寄りの村まで
歩いて1時間ちょっと
あたしの家までは
郵便屋さんすらやって来ない
テレビも、新聞も、ネットもない
その環境のあたしにとっては
手紙が唯一の楽しみだった
この道を一時間ほど行った所に
うちのポストがある
オリーブの収穫が終わり
みんなはシチリアを旅立った
ひとりで暮らすようになってからは
毎日のように、手紙を取りにこの道を歩いた

夏がすぎ、秋めいてきたシチリア
夏の照りつける太陽と
乾燥した空気が嘘のように
秋のシチリアは穏やかな太陽と
湿った空気に包まれる
朝、目覚めると
庭のローズマリーとセージが
露に濡れていた
いつものハーブティーも
心無しかいきいきと香るよう
枯れ果てていた大地からは緑が息吹きはじめ
緑の大地が広がってゆく
みんなは
「シチリアには夏に来るべきだよ。
ビーチのないシチリアなんてなんの魅力もないさ!」
なーんて言うけれど、あたしは秋のシチリアが大好き
吹き付けるシロッコ
(サハラ砂漠から地中海方面に吹く熱風の名称)
いきいきとした緑
にょきにょき生えるきのこ
まぶしいくらいの月明かり
この季節が大好きで
6匹の猫と毎日のように森を歩いた
この猫たち、呼んでもいないのに
いつもあたしの後ろをついて来た
シチリアでは、猫ですら人見知りしないのかしらね?
それとも、あたしがちょっぴり寂しがってたこと
あの子たちは見抜いてたのかしら?

ある秋の午後
庭のローズマリーとセージ
山のわき水でを入れた銀のポットで
ぽこぽこ湧かす
近所のおじさんにもらった
きらきらひかる黄金色のはちみつ
ちっちゃいスプーンにたっぷりからませ
ローズマリーとセージの中でくるくるとかきまわす
大好きな時間
教えてもらった、このレシピ
はちみつがないと絶対に駄目なんだって
苦くて、甘い
あの人みたいだ
庭のハンモックに寝転びながら
青い青い空を見上げる
ひとりぼっちの私のハンモックを揺らしてくれるのは、風
丘のてっぺんにあるこの家には
強く、生暖かい風がふきつける
アフリカからの風だ
シロッコと呼ばれるその風は
褥のようにあたしの身体を包み込む
うとうとうと
ふと、目を覚ますと
あたしのお腹と、肩と、胸の上に
黄金色の3匹の子猫
そうだった
あたしはひとりぼっちじゃなかったよね
この子がやって来てあたしのシチリアでの一人暮らしは
終わりを告げた
お母さんはノルウェー人
お父さんはアイスランド人
もう〜ほんっっっっとにかわいくて!!
これぞまさに天使の笑顔
しかも滅多に泣かず、いっつもご機嫌
珍しく機嫌が悪い時にも
鏡の前に連れてってあげると
自分の愛らしい顔を見て機嫌が良くなる
自分の可愛らしさにうっとりしてる
その姿までかわいい・・・
すっかり親バカです(笑
かなりなついてくれて、
なぜかあたしのお腹の上ではぐっすり眠ってくれるという・・
そんなに寝心地よかったですかあたしのお腹!!(爆
ほんとうにお利口なコでした♪
おもわず赤ちゃんほしくなってしまった・・
クリスマスを過ごすためにシチリアにやって来たこの3人
あたしはこれからこの家族と一緒に暮らすことになったのです
こうして国籍バラバラ4人での
共同生活が始まったのでした
イタリア語で”インドのいちじく”という名前のこの果物
モロッコでは
”バーバリアンのいちじく”
と呼ばれるらしい
でも、本当はいちじくではなく
見てのとおりサボテンの実
シチリアでは10月から12月頃まで
サボテンに実がなる
市場に行けばたっくさん売ってます
そう、この実食べれるんです
あたしの住んでた山には
このフィーキディンディアがたっくさん
そこら中になってました
お腹が減ったらもぎって食べる!
そんな生活
でも、もぎる時には要注意!
絶対に厚手の手袋が必要
この実には目に見えない小さな棘が無数に生えていて
刺さってしまったら最後、3日はちくちくと痛み続けます
小さい棘だから、ひっこぬくなんてことは到底できず・・
ひどい時には手に刺さった棘が身体中に広がってしまうことも
だから皮をむく時にも手袋をして
ナイフとフォークで上手にむかなきゃいけない
食いしん坊の私はもちろんすぐに
プロ並みのむきっぷりになりましたがねっ
この実、甘いんです
でも、実には無数に種があるんです
いわばアケビの種もっとでっかい版!ってかんじ
ですから種を全て取り除いて食べるのは至難の業
種も全て飲み込んで食べちゃうのが現地流!
薬の錠剤ですら飲み込めない私、
「ぜったいムリ!」
とか思っていたけれど
三個目のフィーキディンディアを食べる時には
もうすっかり慣れていました
みなさんも食べる機会があったら
ぜひぜひ現地流で食べてみてください!
ちなみにこのフィーキディンディア、
熟れ具合によって色がすごく変化するんです

黄色→オレンジ→ピンク
オレンジの頃が
一番の食べごろなんだけれど
私は鮮やかなピンク色が大好き!
いつもピンク色狙ってもぎっては
その色を楽しんでました
もちろん、色を楽しんだ後は
しっかり食べ尽くすんだけどねっ♪
プロフィール






